台湾「228事件」日本人への補償判決確定へ

台湾で1947年に住民の抗議行動が弾圧された「228事件」で、日本人も犠牲になったとして、沖縄県に住む家族が賠償を求めていた裁判で、台湾側は24日、家族の主張を認めた判決にたいして上訴しないことを決め、日本人への補償を命じる初めての判決が確定することになりました。

台湾で1947年に起きた「228事件」は、中国大陸から台湾に渡った国民党政権が、住民の抗議行動を武力で弾圧したもので、1万8000人以上が犠牲になったとされ、現地にいた日本人も巻き込まれたと見られています。

このうち、現在も行方が分からない 青山惠先さん(当時38)の沖縄県に住む家族が、228事件の被害者の認定などを行うため台湾当局が設立した財団法人を相手取って賠償を求める訴えを起こし、台湾の裁判所は、今月17日、家族の主張を認めて、台湾側に日本円で2000万円余りの支払いを命じる判決を言い渡しました。これについて、財団法人側は24日、上訴しないことを決め、この事件で日本人への補償を命じる初めての判決が確定することになりました。

「228事件」を巡って台湾側はこれまで、戦時中に日本兵として従軍した人たちなどに対する日本側の補償が不十分だとして、日本人への賠償を行ってきませんでした。判決を受け入れた財団法人側は、日本政府に対し、台湾の人たちへの戦後補償について、さらに取り組むよう求めていきたいとしています。

訴えを起こした沖縄県の青山惠昭さんは、「判決が確定して、本当にうれしいです。台湾の良心と高い人権意識が示され、心から感謝しています。犠牲になった父も、天国で喜んでいるとおもいます。沖縄県内には、ほかにも被害を訴えている遺族がおり、救済に向けて引き続き取り組みたいです。また、台湾との友好のためにも、日本も戦後補償の問題としっかり向き合い、解決に取り組んでほしいです」と話しています。