「地上の楽園」と嘘の説明 帰国事業巡り北朝鮮提訴

北朝鮮への帰国事業を巡り、「地上の楽園」などと嘘の説明を受けて帰国したものの劣悪な環境での生活を強いられたことで人権抑圧を受けたとして脱北者らが北朝鮮を提訴しました。

訴状などによりますと、川崎栄子さん(76)など脱北者5人は、1959年から1984年にかけて行われた帰国事業において地上の楽園などと嘘の宣伝によって北朝鮮に渡りました。しかし、北朝鮮では十分な食糧が与えられず、出国の自由もなかったとしています。これらを受けて原告らは、20日北朝鮮を相手取り、一人あたり1億円の損害賠償を求める裁判を東京地裁に起こしました。

提訴の後の会見で、川崎さんは「この裁判に勝つことによって北朝鮮を動かしたい」と述べました。原告の弁護士によりますと、脱北者北朝鮮を提訴するのは初めてで、今後、東京地裁が実際に審理を開始するかが焦点となります。