清原被告に懲役2年6カ月 執行猶予4年の有罪判決

覚醒剤を使った罪などに問われた元プロ野球選手の清原和博元選手に、東京地方裁判所は「心の隙間を埋めるために使ったという動機をくむことはできない」として懲役2年6カ月、執行猶予4年の有罪判決を言い渡しました。清原元選手は「誠に申し訳ありませんでした」と述べ、傍聴席に向かって謝罪しました。

プロ野球選手でタレントの清原和博被告(48)は、ことし2月、東京都港区のホテルで覚醒剤を使ったなどとして、覚醒剤取締法違反の罪に問われました。清原元選手は起訴された内容を認め、検察が懲役2年6カ月を求刑したのに対して、弁護士は執行猶予の付いた判決を求めていました。

31日の判決で東京地方裁判所の吉戒純一裁判官は「医療機関を受診しても覚醒剤から離れられず、依存性は深刻だ。引退後に目標を失い、元プロ野球の監督になれないといった心の隙間を埋めるため覚醒剤に手を出したという動機をくむことはできず、刑事責任は軽くない」と指摘しました。

一方で、「本人は2度と覚醒剤に手を出さないと誓っていて、父親や法廷で証言した友人も更正に力を貸すと述べている。甲子園球場を沸かせ、プロ野球を代表する打者として活躍するなど社会に貢献してきたが、事件後に厳しい社会的制裁を受けている」などとして、清原元選手に懲役2年6カ月、執行猶予4年の有罪判決を言い渡しました。

裁判官は「公私両面で厳しい現実を待っているうえ、覚醒剤をやめることは容易ではありません。しかし、あなたは決して1人ではありません。お父さんや友人の佐々木主浩さん、地元の支援者の人たち、全国の大勢のファンがあなたの更正を望んでいます。」と、言葉をかけました。

紺色のスーツに青色のネクタイ姿で法廷に入った清原元選手は、真っ直ぐ前を向いたまま緊張した様子で聞いていましたが、最後に傍聴席を振り返り、「この度は誠に申し訳ありませんでした」と述べ、謝罪しました。

執行猶予が付いたことで、弁護側は控訴しないものとみられ、清原元選手は社会の中で生活しながら薬物の誘惑を絶ち、立ち直りを目指すことになります。

佐々木主浩さん「更正をサポートする」】執行猶予付きの有罪判決を言い渡されたプロ野球清原和博元選手について、今月17日の裁判で弁護側の証人として証言した佐々木主浩さんは「更正をするサポートしていく責任を感じています。彼が法廷で述べた反省の弁を僕は信じます。判決を真摯(しんし)に受け止め、失敗を繰り返さないように努力してくれると思います」とコメントを出しました。

そのうえで、佐々木さんは「社会的な制裁を受け、判決も出たので、まず2人きりで会って、今後についてじっくり希望や移行などを聞き、本音で話をすることから始めたいと思っています。そして、心身ともに健康にならないといけない。失った信頼も、こつこつと取り戻していくしかない。球界の先輩、後輩らで、できるかぎりサポートし、彼の心の支えになれればと思っています」コメントしました。

千葉ロッテマリーンズ伊東勤監督「いずれは野球界に」】プロ野球、ロッテの伊東勤監督は現役時代に西武で11年間、ともにプレーした清原和博元選手が執行猶予付きの有罪判決を言い渡されたことについて、「薬物には2度と手を出してもらいたくない。野球界以外にも影響があった人なので、今後は人の役に立つところでニュースになってもらいたい。いずれは野球界に戻ってくる道が開かれればいい」と話していました。

プロ野球コミッショナー「固い決意で更正を」】プロ野球熊崎勝彦コミッショナーは、清原和博元選手が執行猶予付きの有罪判決を受けたことについて、「判決をしっかりと受け止め、青少年を含む多くの野球ファンを2度と裏切らないように、しっかりと固い決意を持って更正に努め、範を示してほしい。野球界としても引き続き、違法薬物との関わりの根絶に努めていきたい」とコメントを出しました。

【前科なければほとんど執行猶予】

覚醒剤の使用や所持の罪は量が数グラムで、前科がなければ、ほとんどのケースで執行猶予が付いています。

複数の専門家によりますと、覚醒剤を自分で使ったり所持したりしていた罪では覚醒剤の量と、前科の有無が刑の重さを判断する際に重視されるということです。

例えは、覚醒剤の量が数グラムで、前科がなければ、ほとんどのケースで執行猶予がついているということです。一方、前科がなくても、所持していた量が50グラムほどの場合は、実刑判決が出たケースもあったということです。

清原元選手の場合、所持していた量がおよそ0.2グラム、譲り受けた量がおよそ1.2グラムで、前科がなかったため、これまでの判決の傾向の同様に執行猶予が付いたものとみられます。

執行猶予が付いたことで、この判決は確定するものとみられ、清原元選手は、再び罪を犯さない限り、刑務所に入ることはなく、社会の中で生活しながら立ち直り目指すことになります。

【専門家「順当な判決」】薬物事件に詳しい元検事の落合洋司弁護士は「この種の事としては、順当な判決だという印象だ。執行猶予が付く場合は3年というケースが多いが、裁判所は、常習性などを含めて考えた結果、3年では短く、4年が妥当だと判決したということではないか」と話しています。

また、覚醒剤の使用は一般的に再犯のリスクが高いと指摘したうえで、清原元選手の今後について「一生懸命働いて帰ったら疲れて寝るような暮らしをするなど、何かに没頭して薬物に依存しない生活を作っていく工夫をすべきだ。薬物に関わらないような環境を構築し、周りの人も環境を維持をできるよう協力していくことが重要だ」と強調しました。

そして、今回のような有名な人物による薬物事件の影響について「多くの人の夢や希望になっている人、特に子どもにとって目標なるような立場の人は、間違いを犯すことで、非常に落胆させるということを自覚しなければいけないと思う」と指摘しています。