「女性トイレ使わせて」経産省 “男性職員”が国を提訴

国内初の提訴です。戸籍上は男性ですが、髪型、化粧、服装と、普段は完全に女性として働く経済産業省の職員が、職場の上司から「女性用のトイレを使ってはならない」と使用が認められず、処遇の改善を求めて国を提訴しました。

13日午後、会見にのぞんだ40代の経済産業省職員。長い髪に女性モノのブラウス。見た目は“女性”にしか見えませんが、戸籍上は男性です。「部署においては、ほとんどの方が一般的な女性と同等に扱ってくれている。原則として、他の女性と同等に扱っていただきたい」

幼いころから性別に違和感があったという職員。性同一性障害と診断を受けたのは、15年ほど前のことでした。

「どういふうにすれば女性として生きていけるか、ずっと考えていた」

性同一性障害と診断された経済産業省職員)

女性ホルモンの投与を受け、名前も女性的なものに変えた職員は、『女性として働きたい』と経産省に求めてきました。その時、問題になったのが、トイレの使用でした。

「私が女性用トイレを使うことは認められない。ただし、異動先で全員にカミングアウトすれば、女性用トイレを使ってよろしい(と言われた)」(性同一性障害と診断された経済産業省職員)

経産省は、一部の女性職員から「違和感があるとの意見が出た」として、女性用トイレ使う場合は、異動ごとに、障害をカミングアウトするよう求めました。職員は、部署から離れた別の階にあるトイレの使用を余儀なくされました。

「上司に『手術しないんだったら、もう男に戻ってはどうか』と言われた。

自分自身を否定されたような気持ちになりました。

日本では、1万7000人いるともいわれている性同一性障害者。NPO団体が、心と体の性が一致しないと訴える人、およそ500人を対象に実施したアンケート調査では、「髪を切れ」「男に戻ってはどうか」など、多くが職場で差別発言を受けた経験があり、「就職や転職で何らかの困難を感じた」と答えた人は実に69パーセントに上がっています。

「どうして私だけが他の所(トイレ)に一人で入らなければならないのか」(性同一性障害と診断された経済産業省職員)

職員は13日、国に対し、人格権を侵害されたとして、およそ1650万円の賠償や、職場での処遇改善を求める訴えを東京地裁に起こしました。